Interview

今回は、中央区の薬院にある“麵や菜” 店主の井上大輔さんにお話を聞いてきました!

  • 井上 大輔(いのうえ だいすけ)さん
  • Taberiiインタビュアー

本日はよろしくお願いします!

よろしくお願いします!

それでは早速ですが、まずお店の名前の由来を教えていただけますか?

それはですね、僕自身が昔から野菜にすごく縁があったことが大きいんです。最初に就職したのが、千葉の柏にある中華料理屋で、そこの社長が、日本にチンゲン菜を広めた人だったんですよ。

チンゲン菜って中華料理ではおなじみですよね。

そうなんです。今から、50~60年くらい前かな。当時はまだ中華の調味料も少ないし、中華野菜も今ほど一般的ではなかったんですよね。でも、中国から苗を持ってきて、農家さんに作り方を教えて、それで柏の地域に広まっていったそうです。

それと、僕自身、熊本の天草出身で、田舎育ちなんです。子供の頃は家でお米も作っていたし、みかんもやっていました。今でも実家では、無農薬野菜を作っていて、朝から庭で採れたものを食べるような、そんな生活だったんですよ。そういう環境で育ってきて、就職先でも中国野菜に力を入れているお店に出会って、いろんな野菜を使わせてもらいました。
そのあと、福岡の「侑久上海」さんに2年ほどお世話になったんですけど、その時に社長から「野菜の使い方がうまいね」って言っていただいたんです。そういう経験もあって、中華料理はしっかりした味のイメージがありますけど、油を使いながらも、野菜を美味しく食べてもらえる中華を出したいなと思ったのが、最初なんですよね。それで「菜」という字を入れました。
それから、まかないでよく麺を作っていたことと、この場所の前のお店がラーメン屋さんだったこともあって、気軽に入れて美味しい麺が食べられる中華にしたい、ということで「麵や」にしました。
「麺」「野菜」っていう読み方もできますしね。

「野菜の使い方がうまいね」と言われた、というお話が印象的でした。

いや、そんな偉そうなことではないんですけどね。なるべくいろんな野菜を使う、ということはずっと意識しています。最初の千葉のお店では、中国野菜の扱い方を本当に厳しく教わりました。
例えば、チンゲン菜も、当時は外側は使わずに、中心の柔らかくて美味しいところだけを使うとか、豆苗も香りがよくて柔らかいんですけど、その先の柔らかいところだけを使っていました。空芯菜も硬い茎は全部落として、柔らかい部分だけをお客様に出していましたね。今思うと、ものすごく贅沢な使い方ですよね。
お店が大きかったので、チンゲン菜も10キロ箱が1日に3〜4箱届いていたんですけど、その半分くらいは落としていたんです。今思うと本当に凄いことをしていたなと思います。それだけ“美味しいところだけを出す”というこだわりがあったんでしょうね。

時代もあったんでしょうか。

時代もあるし、やっぱりこだわりですね。僕自身、野菜は好きですし、旬のものって本当に甘くて美味しいんです。たとえば、ほうれん草。皆さんがバンっと落としてしまう根元のところ、そこが一番甘くて美味しいんですよ。

たしかに切り落としてしまうかもしれないですね。

旬のほうれん草の根元は、醤油も何もつけなくていいくらい甘くて、えぐみもなくて美味しいんです。そういうものを少しでも楽しんでもらえたらなと思いますね。
基本的には、たけのこや野菜もできるだけフレッシュなものを使うようにしています。美味しい野菜をそのまま味わってもらいたい、というのがお店のコンセプトなので、糸島まで買い出しに行ったり、知り合いの農家さんから仕入れさせてもらったりしています。
だから、うちのメニューは「何の野菜を使う」と固定していないものが多いですね。その時、その日に入った野菜で作るという感じですね。
ただ、今は野菜の価格も上がっていて、理想通りにいかないことも多いです。 麺屋と名乗っている以上、価格のイメージもあるし、ラーメン屋さんの感覚で来られる方も多いので。 加工品に変えれば原価を抑えることもできるけど、「菜」と言っている以上、やっぱりそこは譲れないなと思って、葛藤しながら少しでも美味しく召し上がっていただけるようにと思ってやっています。

たくさんのこだわりが伺えました。ありがとうございます。
次にこの場所でお店を始められたきっかけを教えていただけますか?

それは縁ですね。以前、侑久上海の2号店が今のお店の近くにあったんです。千葉のあと、一度地元の熊本に戻って中華屋さんで働いて、そのあと福岡でそのお店がオープンするということで来ました。そこが2年で閉めることになり、じゃあ近くでお店をやろうとなって、ちょうどここが空くっていう話を聞いたので。侑久上海とは味は全く変えようとは思っていましたけど、前のお店に来てくださっていたお客さんにもご案内しやすいかなと思ったんです。
最初の1年は社長と共同経営のような形で、僕は雇われ店長としてやっていました。でも社長も忙しくなって、それで「じゃあ買い取ります」と言って、2年目から自分でやるようになったんです。

そうだったんですね。実際に、この場所はいかがですか?

お客様はすごくいい方ばかりですね。サラリーマンの方が多いです。女性のお客様も多いです。夜はこれからもっと頑張っていきたい時間帯なので、そこは今力を入れているところです。

それこそ野菜とか、女性もやっぱり野菜をたくさん摂りたいっていう方も多いと思うんですよね。美味しくて、栄養たっぷりの野菜を食べたいっていう方も多いと思います。

そうですね。昼も夜も来てくださる女性のお客様も多いんですけど、やっぱり「ラーメン屋さん」というイメージが強いんですよね。
なので、いろいろ楽しんでもらえるように、量を少しコンパクトにしたメニューも考えていますね。女性でも一人で来ると、中華ってなかなか頼みづらいじゃないですか。麺だけになったり、チャーハンだけになったりしてしまうので、それだとちょっともったいないなと思うんですよね。なので、いろんな料理を気軽に楽しんでもらえるような形で、夜のメニューも少しずつ広げていけたらと思っています。それでも今でも来てくださる方が多いので、本当にありがたいですね。

井上さんは、ずっと飲食業ですか?

そうですね。熊本から大阪の調理師専門学校に行って、そこから千葉で就職しました。

もともと飲食に興味を持ったきっかけは何だったんでしょうか。

母が看護師で忙しかったので、自分で料理を作ることが多かったんです。もともとプラモデルを作ったり、絵を描いたり、何かを作るのが好きで、その中でも料理はずっと楽しいなと思っていました。
天草の田舎育ちということもあって、いわゆる“会社員になる”というイメージがあまり湧かなかくて。だったら自分で何かやってみたい、いつか自分の店を持てたら面白いな、という思いがあったんでしょうね。
今思うと考えが甘かったですけど(笑)、もともと独立志向は強かったと思います。

実際に、飲食業はどうでしたか?

実際はすごく厳しい世界でした。特に僕の時代は、先輩も厳しかったですね。
入社2日目くらいの時に、先輩が別の先輩に「俺がカラスは白いって言ったら白いんだ!」って怒っているのを聞いて、本当にそんな世界なんだと思いました(笑)。

それでも続けようと思えたのはなぜですか。

もう根性ですね。僕は空手をやっていたので、体育会系の厳しさには慣れていましたし、親に専門学校へ行かせてもらったのに「怖いから辞めます」というのも違うなと思ったんです。
それに、「なんでお前のために辞めなきゃいけないんだ」という気持ちもあって、そういう思いで続けていたんだと思います。

そういう想いがあったんですね。
お店をやっていて良かったなって思う瞬間はどんな時ですか?

やっぱり「美味しかった」とお客さんに言ってもらえた時ですね。
わざわざ並んでまで食べようと思っていただけることは、すごいことなんですよ。周りにたくさんの飲食店がある中で、ランチの1時間しかないのに、ここまで来てくださる。週に2回、3回と来てくださる方もいるし、毎回同じものを食べてくださる方もいる。値上げしても変わらず来てくださる。それは本当に何とも言えない嬉しさがありますね。
芸能人が来たとか、そういうことにはあまり興味がなくて。それよりも、いつも来てくださるお客様を大事にしたいんです。たまに「この時間を貸し切りにしてほしい」と言われることもあるんですけど、ランチの営業中ならお断りしています。やっぱり、いつも来てくださる方がいますからね。

井上さんはお客さんと営業中に結構お話しされますよね。

そうですね。できる時はなるべくしますね。

お店のスタッフの方には、どんなことを伝えていますか。

笑顔で接することと、お客様をないがしろにしないことですね。しっかり受け答えをする。それくらいです。

お店を利用して温かいなと感じるのですが、そういうことですね。
次にお店に来たらぜひ食べてもらいたいメニューはなんですか?

やっぱり一番は担々麺と麻婆豆腐ですね。お昼だと酸辣湯麺もおすすめです。夜は、野菜系の炒め物やエビの春巻きなどもよく出ますね。

いろいろありますね!

でも絶対に自信を持っているのは、担々麺、麻婆豆腐ですかね。

その理由を教えていただけますか?

やっぱり、自分がもともと好きだったというのが一番大きいと思います。特に担々麺は食べたときに自分で食べてもすごく感動したんですよ。 そこで、いろいろなお店で修行してきた中で良いと思ったところを取り入れながら、自分なりに改良して作りました。
「麺や菜」という名前なので、それらしい担々麺を作らないといけないなと思って、じゃあ野菜を多くしてみようか、というところから始まったんです。いろいろな野菜を試してみて、通年使えて、ランチの価格でも出せて、なおかつ野菜のボリュームがしっかり出せる形が今のスタイルですね。
キャベツともやしと青い野菜、それに肉味噌という組み合わせなんですが、一般的な担々麺って青菜が少し乗って肉味噌があるくらいのイメージだと思うんです。でも、うちは麺と同じくらいの量のキャベツともやしを乗せていて、結構しっかりボリュームがあります。
まったりした味わいだけだと途中で舌が飽きてしまうんですが、野菜のシャキシャキ感やみずみずしさがあることで、最後まですっきり食べてもらえると思います。我ながらうまくできているかなと思います。

これはぜひ食べたいですね!
お客様には、どんなふうにこのお店を楽しんでもらえたら嬉しいですか?

ランチは気軽にラーメンを食べに来ていただいて、夜はちょっとお酒を飲みながら中華を楽しんでもらえる、そんな使い方をしてもらえたら嬉しいですね。カウンターもあるので、お一人でもふらっと来ていただけますし、テーブルで何品か料理を頼んでゆっくり楽しんでもらうのもいいと思います。
ラーメン屋さんというイメージで来られる方も多いんですが、実は中華のメニューもしっかりやっているので、いろんな料理を気軽に楽しんでもらえるお店になったらいいなと思っています。

今後の展望や、挑戦してみたいことがあれば教えてください。

これからも、しっかりお店を続けていけたらと思っています!
あとは、知り合いと一緒に醤油ラーメンを出そうという話もあるんですよ。東京で「ちゃん系ラーメン」というのが流行っているんですが、それを参考に、知り合いの中華屋さんや和食屋さん、天神のラーメン屋さんと、4店舗でそれぞれラーメンを出してみようという企画なんです。

どこで提供されるんですか?

みんなで作って、それぞれのお店で出しますよ。
東京の「ちゃん系ラーメン」を食べて「美味しいね」という話になって、僕が土台のレシピを作ったんです。そこからそれぞれのお店で少しずつ個性を出しながらやってみようという話になっています。うまくいったらいいなと思っています。

共同でやろうという話なんですね。

そうですね。みんな共通の知人がいて仲が良かったのもありますし、前から「何か一緒にできたら面白いね」という話をしていたんです。それに、みんなで一緒にやった方が話題にもなりやすいかな、というのもありますね。それで、じゃあみんなでやってみようか、という流れになりました。

楽しそうですね。

飽き性なので、どんどん新しいことをやらないといけないんですよ、多分(笑)。

お話を聞いていて、いろいろなことに興味をお持ちだなと感じました。

中華だけに集中していたら、もっと大成していたのかもしれないですけどね(笑)。逆に、あっちこっちに興味を持ちすぎているのかもしれません。

最後に、Taberiiについて、最初どう思われましたか?

福利厚生で使うという仕組みは素晴らしいと思います。飲食店としてもありがたい限りですよね。

ありがとうございます。最初にご挨拶に伺ったときは、特に抵抗は無かったですか?

全然無かったですね。僕、結構なんでも好きなんですよ。
Uber Eatsも、話が来たときに早い方で始めたと思いますし、基本的には「まずやってみよう」という感じでしたね。

じゃあ、いろいろ試してみようかなという感じだったんですね。ご協力いただいてから、良かったことはありますか?

こうやって知り合いになれたことがメリットですよね。
先日もオードブルを注文していただきましたし、その前には宴会もしていただきました。
正直、僕は福岡に特別な縁があって来たわけではないので、周りに知り合いが多いわけでもないんです。いろんな場所にいたので、このあたりに仲間があまりいないというか。だから、こうやってご縁が繋がっていくのは本当にありがたいですね。

こちらもご縁をいただきありがとうございます。
今日はたくさんのお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。