Interview

今回は、中央区の薬院にある“ムツロノサラダ” オーナーの無津呂 直樹さん、調理担当の岩倉 博子さんにお話を聞いてきました!

  • (右)無津呂 直樹(むつろ なおき)さん
    (左)岩倉 博子さん(いわくら ひろこ)さん
  • Taberiiインタビュアー

本日は、よろしくお願いします!
まず、お店の名前の由来を教えてください。

もうそのままです。経営が無津呂商店という、旅館やホテル、レストランに卸しをされている八百屋さんなので、そのまま語呂が良いかなということで、カタカナで「ムツロノサラダ」にしています。

覚えやすいですよね。博子さんがサラダ屋さんをされるということで、ヒロコノサラダは候補に無かったんですか?

候補はギリギリまで無くて、パッと思いつきでしたね。私は本当に料理が好きで、声が掛かって調理しているだけなので、別に前に出なくてもいいかなと思っていました(笑)
無津呂商店さんの名前があって集まるお野菜たちを、農家さんから無津呂商店さんが直接持ってきてくれるので、本当に「ムツロノサラダ」だと思います。

開業日はいつですか?

2024年の5月15日です。

この場所を選ばれた理由は何ですか?

この場所は、たまたま無津呂くんの知り合いを通じて、「この店舗を使えるよ」と声を掛けてもらったことがきっかけでした。

たまたまだったんですね。
博子さんが調理担当となったきっかけは?

以前から無津呂くんは、無農薬の野菜をもっとたくさんの人に知ってもらいたい、目標として掲げていた畑から直接テーブルへ届ける”ファームトゥテーブル(Farm to Table)”を実現するために、何かできたらいいなと考えていたらしく、「サラダ屋さんをやってみたいけど、料理ができる人いないかな?」と人を探していたところで、私に声が掛かったんです。

博子さんは飲食関係で働かれていたんですか?

いえ、私はヨガのインストラクターを本業にしています。もともと、お料理が好きで、共通の知り合いがいて、お料理が好きとその知り合いに話をしたことはあったけど、具体的にやりたいとまでは思っていませんでした。たまたま私に話が来て、楽しそうだなと思って引き受けました。無津呂くんとは、もともと知り合いだったわけではなくて、話が来る少し前に1回会ったことがあったくらいでした。

お料理がもともとお好きだったのですね。

そうですね。ヨガの集まりで、料理をするとなると必ず料理担当になったりしていました。本当に好きでやっている感じです(笑)

好きって1番大事ですよね。

そうですね。僕も一緒にサラダ屋をしてくれる人を探すにあたって、そこが1番押さえておきたかったところです。仕事でお金もらえるからやる、というより、農業でもそうなんですけど、好きで無意識に体が動くのが1番大事だと思っていたので、博子の料理に対する気持ちが伝わって、この人だと思いました。

そうだったんですね。 最初から今のようなサラダ メニューにしようと考えていたんですか?

最初はこんなに作り込む予定はなくて、2、3種類のナッツやラぺを乗せるぐらいのつもりでした。でもせっかく出すなら他にないサラダを提供したいし、お野菜だけを使ってデリやお惣菜をたくさん乗せたいなと思っていました。なので、最初は4、5種類のデリからお客さんに2、3種類選んでもらおうかとか、そんな話も出ていたんですけど、当初は完全にワンオペの予定だったので、それなら提供前に全て乗せて、喜んでもらえる方がいいかなと思って、やっていくうちにどんどん種類が増えました(笑)

やっていくうちに増えたんですね(笑)

はい。無津呂くんが持ってくる野菜の量も増えて、毎回何が来るかわからないので、持ってきてくれたもので工夫しています。

無津呂さんは、ある程度どういったサラダにしようとイメージして、持って来られるのですか?

普段から料理もしないので、何のイメージも無いです(笑)
本当にただ持ってきている感じですね。

たとえば、どんなお野菜を持って来られるんですか?

らっきょうとか持ってきますもんね。

らっきょうですか!

らっきょうのサラダとか美味しそうじゃない?(笑)

珍しいですね(笑)

意味わかんないでしょう?
冬場は、カブ、大根、里芋ばっかりの時もありました。サラダらしくないので、デリとしておかしくないように、頭を悩ませながら作っていましたね。 その時は、もうカブや大根にはしばらく会いたくないと思う時もありました(笑)

サラダを作る上で気を付けていることはありますか?

テイクアウトが多いので、水分があまり出ないように調理しています。季節的にカラフルなミニトマトがいっぱい入ってきて、それが新鮮であれば2,3個乗せたりはするんですけど、カットしたトマトは水分が出てしまって、テイクアウトには向かないので、大きいトマトは使わないです。
テイクアウトを朝一番にしていただいて、お昼食べていただく時にぐちゃぐちゃになっていないように作ることは気を付けていることの1つですね。

テイクアウトもされているからなんですね。

テイクアウトについては、無津呂くんからの無茶ぶりの1つなんですけど、朝の8時からテイクアウトの提供をしているんですよ。” ファームトゥテーブル(Farm to Table)” を目標に掲げているというのもあるんですけど、「ここら辺はビジネス街で、不健康な食生活を送っている会社員の方がすごく多いから、出勤する前にお野菜ばっかりのサラダランチを持って出勤してほしい。だから、博子さん、8時に開けてくれ」と言われて始めたんですよ。

朝の8時からお店を開けていらっしゃるんですか。

そうなんです。なので、毎週木曜日は朝5時からお店にいます。

朝5時からですか!大変ですね。

朝が早いのは、もともと毎朝自分のヨガの練習を太陽が昇る前からしているので、大丈夫です。ただ、朝早いので、子供たちの朝ごはんとお弁当を毎日置いてから出てきています。

すごいです!尊敬します。
次に、メニューでこだわっているところを教えてください。

できるだけお野菜本来の味を邪魔しないように調理しています。農家さんが苦労して、無農薬で育ててくださったお野菜は味が濃いし、洗ったときに油とか浮いてこないんです。私は農業をしたことがないので、農家さんの苦労は想像でしかないんですけど、無農薬でお野菜を育てることってすごい大変だと思うんですよ。なので、人参やカブ、大根は特に皮は全然むきません。皮もおいしいですし、むいてしまうともったいないので、できるだけそのまま使っています。ドレッシングや調味料もできる限り無添加で、塩もできれば日本の海水でとれた天日塩を使っています。マヨネーズは手作りで毎回作っています。

最初に無津呂さんから「料理してみないか」とお話が来た時はどう思われたんですか?

「いや、ええ、どこまで1人でできるかな」と思いました(笑)

そうですよね(笑)
無農薬の野菜にはもともとこだわりがあったんですか?

気にかけるくらいでした。ただ、これまで約20年、子どもを育ててきて、毎日食べるもので人間が作られていく様子を間近で見てきました。特に1番上の子はアレルギーもあって、離乳食の時期は大変だったこともあったので、本当に私が作って食べさせるもので、この子たちの身体ができていくんだと思うと、食べるもの、食べさせるものへの責任は重く感じましたね。だからといって、毎日ずっと無農薬のものだけを買い続けられるわけでもないので、スーパーで普通のお野菜を買うこともありますし、私自身、基本的には何でも食べます。なんなら毎日お酒も飲みますし、そこまで神経質ではないです。それでも、「人は食べたものでできている」という感覚は、ずっと持ち続けています。

そういった食への想いも無津呂さんとお話をして、ムツロノサラダさんを始められたのですか?

そうですね。無津呂くんにもこのお店のコンセプトで、目標に掲げている”ファームトゥテーブル(Farm to Table)”や、「日本の給食を全部無農薬野菜にしたい」っていう夢があるんですよ。壮大な夢なんですけど、すごく共感しましたし、素晴らしい夢だと思うので、私も少しでもその夢に関われるなら協力したいなと思いました。

無津呂さんは料理されないということで、無農薬の野菜をお1人でメニューから調理までするのは大変ではなかったのですか?

毎週、朝5時から真っ暗な中で黙々と仕込みをしていますが、不思議と苦にならないんです。むしろ、こうしている時間が本当に楽しいんです。メニューについての相談やSNSでのメニュー検索とかもしないんですよ。自分で考えるほうがワクワクしますし、そのほうが楽しいんです。

本当に料理がお好きなんですね。

ずっと黙々とここで作業している時間も好きですし、何十人もの生徒さんと一緒にヨガをする時間もすごく楽しいんです。友達にはよく「変態だ」と言われます(笑)

メニュー検索をされないとのことですが、どこから調理方法や料理の情報を仕入れているのですか?

食べるのも料理するのも好きなので、主婦もやっていますけど、時間を作って、沢山飲みにも行くし、友達とも遊ぶんですよ。なので、その時に、こんな調理法もあるんだとか、食に関するアンテナを張っているかもしれないです。

お店を始めてから勉強されたとかではないんですね。

お店を始める以前に、ヨガは外側からのアプローチなんですけど、食は内側からのアプローチだと思っていて、そんなにかけ離れていないとずっと思っていたので、食に関する情報が入ってくるのかもしれないです。

いつからお料理がお好きだったのですか?

高校生ぐらいから好きですね。でも嫌だった時もあります。毎日料理を出さないといけない、作らないといけないって嫌になる時もあったんですけど、どうせしないといけないのに、嫌がっていたらもったいないですよね。

お店にはどういったお客さんがよく来られますか?

店内は平日ゆっくりランチができる主婦の方々が多くて、テイクアウトは会社員の方が多いですね。ただ、最近はGoogleで「薬院 サラダ」と検索するとお店が上がってくるようにちょっと工夫したので、たまたまヒットした方が来てくださったり、仕事場が近くのOLさんや、主婦さんでも「やっと木曜日に来られた」と言ってテイクアウトに来てくださる方もいたり、色々な方が利用してくださっています。男性のお客様も意外と多くて、毎週買いに来てくださる年配の男性や、歯医者さんをされている方もいらっしゃいます。あとは、ヨギーとか、ヨガの生徒さんによく来ていただいています。

ヨギーですか?

ヨガをする人のことです。ヨギーとかヨギーニって言うんですけど、ヨギーニが女性のこと、ヨギーがヨガする男性のことを指しています。お店には、健康的なものを取り入れていたり、自分へ意識がきちんと向いている方が来てくださっている印象があるので、これからもそういう方にぜひ使ってほしいですね。

これから挑戦してみたいことはありますか?

これから始めようと考えている夜の営業では、温かいものも出してみたいなと思っているんです。たとえば、ヤングコーンやそら豆を外側が黒くなるくらいまで焼いて、中がホクホクになったものをシンプルにおいしいお塩で食べてもらうとか、本当にそれだけでも十分おいしいんですよ。そういった、シンプルだけど素材の味をしっかり感じられる料理も夜の営業で出していきたいなと思っています。
ランチは1人でやっているので、なかなか手が回らず、温かいものをサラダで出すことは難しいんですけど、不定期ではありますが、金曜日の夜営業を少しずつ始めていきたいなと思っています。

もともと夜営業をしたいと思っていらっしゃったのですか?

そうですね、そういう話を無津呂くんにしたことはあります。もともとお酒も好きだし、料理するのも食べるのも好きなので、そんなのができたらいいなって、ポロっと言ったことを「あれやりたい」って言っていたでしょうって詰められるんです(笑)
「博子さんの最終目標は小料理屋です」と無津呂くんが周りによく言っているんですけど、最終目標ではないですね。もちろんそれもしたいんですけど、それが最終目標というわけではなくて、ほかにもまだまだやりたいことがあるので、最終的にどうなるかは自分でもわかりません。とにかく今は、小料理屋も含めていろいろなことに挑戦していきたいと思っています。

ちなみに、小料理屋ってどんなお店ですか?

少人数のお客さんに向けて、できれば、じっくり手間をかけて作った料理をゆっくり楽しんでもらえるようなお店にしたいなと思っています。

楽しみにしています!
最後に、Taberiiについて初めて聞いた時、どう思われましたか?

すごく画期的だなと思いました。会社の協力でおいしいランチが食べられるって、どちらにとっても嬉しいことですよね。会社も社員さんたちも喜ぶでしょうし、もっと広がればいいなと思っています。本当にいい仕組みだと思います。

ありがとうございます!
無津呂さんはTaberiiについてどう思われましたか?

率直に「福利厚生って何だろう?」と思いましたね、正直、これまで会社員として働いたことがほとんどなくて、「福利厚生」の言葉自体あまりなじみがなかったんです。最初は「うちが福利厚生をしないといけないの?」とちょっと戸惑いましたが、詳しく聞いてみると「商品を企業さんに提供する側」だということが分かって、やっと仕組みを理解できました。
企業さんには、社員さんたちに健康的な食事を食べてもらいたいと思う社長さんと、そうじゃない社長さん、どちらのタイプもいると思いますが、導入すれば、社員さんの満足度は確実に上がると思います。最初は、仕組みに戸惑いましたが、やっと全体像を理解してきて、とても面白い仕組みだなと思っています。

ありがとうございます!インタビューは以上で終わりとなります。
お忙しい中、ありがとうございました!

こちらこそありがとうございました!