Interview
焼肉 都様
インタビュー
今回は、福岡市博多区祇園町にある ” 焼肉 都 ” オーナーの清本 幸男さんにお話を聞いてきました!
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清本 幸男(きよもと ゆきお)さん
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Taberiiインタビュアー
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都さんは1961年の昭和36年に創業されたんですよね?
創業から63年はすごいですね!
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このお店は元々うちのおばあちゃんが創業なんで。
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そうなんですね。
おばあ様が創業されて次は清本様が継がれてという感じだったんですか?
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はい、僕はそのまま。親父は別の仕事をしていたんで。
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そうなんですね。じゃあ、お店を受け継ぎたいなっていう気持ちがずっとあったんですか?
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いや、なかったですね。僕はこの地区に生まれたんで。ここはまだ2階建てのちっちゃな焼肉屋で。
高校、大学までずっといたんですけど、ここを継ぐとは思ってなかったですね。 建築関係とか、テレビ局でカメラマンとして働いたりしたんですけど、なんか続かなかったんですよね。
24歳の時に大学を卒業して、2年ぐらいよそで働いたんですけど、もうすること無いんで、とりあえずここで働いてたらという感じですね。
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そうなんですね。おばあさまから継いでほしいみたいなこともおっしゃられたんですか?
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いや、商売は苦労するからするなと。 そういう風に言われましたね。
もう、やめとけと。やっぱり不安定なんで、自営業って。
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飲食っていうのは大変ですよね。
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やっぱり、色んなことがあって、狂牛病だったりO-157があったり、今回のコロナがあったりとか。
だから商売させたくなかったんですよ。うちのおばあちゃんが苦労しましたんで。
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そうなんですね。
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それで、1年ぐらいここで働いたんですけど。 まぁ、ここで働いてても、あんまり良くないなと思って大阪に修行に行ったんです。
そこで、焼肉をちゃんと学んで、帰ってきたっていう感じですね。
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そうなんですね。ちなみに、何というところで修行されたんですか?
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東大阪の、南大門っていう老舗のお店です。
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なるほど。それは何か、お付き合いがあったんですか?
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いや、とにかく新幹線に飛び乗って行ったんですよ。
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そうなんですね!
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その時に行ったのが、鶴橋だったんですね。鶴橋って日本の焼肉のメッカで、そこに行ったら何かあるだろうと思って。
そうしたら、そこの鶴橋に、ニューオープンの店があって、南大門さんがやっている、ちっちゃな韓国料理屋の支店ができるということで、そこに応募したんです。 「お前、焼肉屋の息子なら本店の方に来い」ということで。 それで、東大阪の方に行ったっていう感じですね。
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なるほど。そこでは何年ぐらい修行されたんですか?
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2年って決めていきました。
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2年ですか。大変だったでしょう。
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そうですね。言葉も違いますし。
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そうですよね。
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だけど、僕の人生、焼肉をもうずいぶん長いことやってますけど、 あの2年があったからこそ、今があるかなっていうぐらい、きつかったけど、勉強になりましたね。 焼肉の全てですね。
肉に関してや接客などすべてを学びましたね。 やっぱり、身内の中にいるよりも、そういう厳しいところで、修行したんですごく刺激になったし良かったです。
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じゃあ、外で見てこられて帰ってくるとお店の良さがさらに分かったという感じですよね。
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良いところも、悪いところもですよね。
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悪いところもですか。
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帰ってきたら、こういう店にしたいなと思いながら帰ってきて。そこからすぐ店の経営を任せてもらって、という感じですね。
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その頃、おばあさまはおいくつですか?
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えっとですね、70何歳だったと思います。
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じゃあ、次の代に引き継ぐくらいの気持ちがあるでしょうしね。
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その時ちょうど、狂牛病の時期で。もう、焼肉業界がガタガタで。 もう、ほんとに潰れるかなと思って。
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それは大変でしたね。
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そういう面では、僕は若い頃お金ですごく苦労しました。
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そうなんですね。
このお店は改装されたって聞いたんですが。
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コロナの時に営業できなくて、どうせ営業できんなら店も古かったし、これからは個室がいいだろうということで、改装することになって、2階部分を1年目に全部個室に変えました。
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全部変えたんですね。
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コロナって結局、2年ぐらいありましたから。 その翌年に1階も全部変えてという感じです。
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もともとは、個室はいくつかあったんですか?
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いえ、個室は2階の宴会場ぐらいのもんで、昔ながらの焼肉屋でした。
堀ごたつがあってすぐ横の人も見えるしっていう感じです。
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本当にガラっと変わったんですね。
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そうですね。
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コンセプトみたいなものとかは変わられたんですか?
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そうですね。 それまではいわゆるアットホームっていう感じで、近所のおじちゃんたちやパチンコ帰りの人が来るという感じで、週末は家族連れが来てという感じだったんですけど、どう考えても、ここオフィス街だし、中洲も近いし接待に使えるはずだと思い、そういう店にしたいなと。家族で来てもきれいな方がいいですしね。
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そうですよね。お肉の仕入れ先とかは、ずっと変わらずですか?
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そうですね。そのあたりは何も変えていないですね。
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お肉へのこだわりを教えて頂けますか?
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どこ産のお肉っていうわけではないですね。一昔前は霜降りのA5ランクのが良いっていう時代だったんですけど 、今、僕ら食べられないじゃないですか。霜降りの、あのギトギトの特上ロースとか。要は脂っこすぎるんですよね。
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そうですね、たしかに。
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良い肉なんていうのは、脂っこすぎて、一口食べるともうお腹いっぱいになっちゃうんで、最高級ランクの、どこどこ産って色々あるんですけど、 今ちょうど肉屋さん来てたんですけど、肉屋さんに、今日はどこ産がありますか?って、伊万里が良いですとか、今日は大分が良いですとかっていうのを聞いてその場で決めます。
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そうなんですね!
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あんまり、サシが入りすぎてない柔らかい赤身ですね。
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清本さんの目で見て、今日はこれだっていうものを選んでいるんですね。
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そうですね、はい。
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仕入れは毎日なんですか?
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いや、肉ってですね、ロースだけでも、大体200人前ぐらい取れるんですよ。これで20kgくらいあって。
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こんなにおっきいんですか?
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牛の背中そのまま切り取りますんで。 なんで、大体、1週間から10日ぐらいで、全部売り切ってしまうので。 月に4回ぐらい仕入れるっていう感じです。
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じゃあ、修行などで学んできた目で見てっていう感じですよね。 だから、すごくお肉も質も良くて、美味しいってすごく評判なんですが、清本さんの目があってということなんですね。 納得しました!
では、お店の名前の由来を教えていただけますか?
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おばあちゃんの韓国名の名字です。あの、金さんとか、朴さんとかの。
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なるほど名字なんですね。 花の都みたいな響きとかもあるんですかね。
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おばあちゃんの韓国名の名字です。あの、金さんとか、朴さんとかの。
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なるほど名字なんですね。 花の都みたいな響きとかもあるんですかね。
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そういうふうに僕も思ったんですけど、全然そんなことない。ただの名字です。焼肉清本みたいなもんですよ。
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ちなみに、おすすめのメニューを聞かせていただけますか?
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そうですね。おすすめはもちろん色々ありますが、ダントツ、ハラミですね。
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ハラミですか。
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はい、ハラミ、サガリ。この2つが特に人気です。
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それは、赤身で柔らかくて脂っこくないという点が理由でしょうか?
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そうですね。ロースとかカルビは1頭から200人前くらい取れるんですけど、ハラミは1頭から20人前くらいしか取れないんですよ。 内臓の部類にあたるものなので、ハラミはホルモン屋さんからしか入らないんですよ。すごく希少なんです。
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1頭から20人分なんですね!
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うん、それぐらいしか取れないですね。 ハラミはですね、ホルモン屋さんから仕入れるんで、生肉屋さんとはまた別で、ホルモン屋さんは毎日新鮮なホルモンを持って来てくれるんで。
ここはやっぱり、うちがもう40年近く取引してるホルモン屋さんなんで、良いものを優先して、うちに持って来てもらってますね。
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味とかもやっぱり違いますか?
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違いますね。生でも食べれますし。
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生でもですか!?
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そうですね、甘味、食感。ハラミしか注文されないんで、一人一人前っていうのをもう3年ぐらい前から決めてます。3人で来られたら3人前までにしてくださいという感じです。
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決まってるんですね。ちょっと、ハラミ食べに行かないとですね。
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それでハラミが全然儲からないんですよ。でも、とても人気なので、看板メニューで置いとこうかと思って。
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なるほどですね。絶対食べたいですね。あと、サイドメニューとかも充実されてますよね?
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そうですね。もともとうちのおばあちゃんが韓国の料理をずっとしていて、名刺にもですね、純韓国料理専門店という風に、肩書き入れてるぐらいなんです。味噌は韓国の味噌ですし、チゲの味噌とかも大豆から手作りしてます。
純韓国料理店として、僕もずっと習ってきましたし、うちの厨房も韓国のおばちゃんがやってくれているんで、やっぱり本場の韓国の味で韓国の方も喜んでくれますね。まさに韓国の味付けですね。
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なるほどですね。タレとかは?
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タレはですね、ずっと昔から変えてないんですけど、うちはどちらかというと、うなぎのタレに近いんですよ。甘くて、お酒に合うっていうよりはご飯に合うのが、うちの特徴じゃないかなと思います。
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ご飯が進む感じですね、 好きです、甘いタレ。
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召し上がって頂くと分かると思うんですけど、うなぎのタレって言ったらこういうことだなっていう感じで。
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海外のお客様も多いですか?
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そうですね。メニューは、日本語、韓国語、英語、中国語まで準備しています。海外の方でも分かるように。
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ホットクもありますよね! 韓国料理好きなんですよ。焼肉屋さんで珍しいですよね。
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なかなか無いですね。
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働かれている方のご意見を取り入れたりされますか?
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そうですね。若い女の子が教えてくれたんですけど、ピスタチオアイスなんて、僕も全く知りませんでしたし。
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ピスタチオ、人気ですよね!
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僕の中ではもう、ピスタチオアイスって、枝豆アイスと同列なんですよ。豆の何が美味いんだって思ってたんですけど、これ人気なんですよ(笑)こういうのは、女性スタッフの意見を取り入れてっていう感じですね。
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お祝い事や接待で来られる方も多いんですか?
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多いですね。やっぱり接待とかでいいものとか、お祝いの時はシャートブリアンを頼もうっていう方が多いですね。
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それは良いですね! 今後の話なんですけれども、どんなお店にしていきたいですか?
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そうですね、色んな方に聞かれるんですけど、店舗を展開してみたらとか熊本の阿蘇のホテルにテナントを去年まで出してまして、そこはもう経営が変わったんでもう辞めたんですけど、結局1店舗でここが僕の持ち物なんで家賃が無いんですよ。
ここ1店舗でやってると家賃が無いんで安く提供できるんです。ハラミなんかこの値段で出すとかないんで。あとシャートブリアンもですね100g2400円なんて有り得ない、もうほぼ原価です。
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みなさんに満足して欲しいという思いからですよね。
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そうですね、満足して欲しいっていう思いですよね。まあ、どういう店にしたいかと言われると、今63年目ですね、やっぱり100年目指してますね。
100年続く店って言うと、これは本当に老舗だなと思うんで、そこを目指してコツコツやっていこうと思っていますね。
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常連の方も多いですか?
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い、もう8割常連さんですね。その常連さんの予約で埋まるっていうような状況です 。
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いいですね!100年目指してください!
また、Taberiiについては、最初聞かれた時、率直にどう思われましたか?
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町内会費とか山笠の寄付のお願いでも行ってたんで、パンフレットをもらった時点で、もうこれは協力するしかないな(笑)という感じでした。Taberiiのシステムがどうというよりも平木社長からこのパンフレットもらったら、もう無条件で協力しようとは思ってました。
やっぱり企業さんの協力や理解が無いと、僕ら続けることできませんからね。地域のためにやってるということを伺って、じゃあそれであればぜひ協力させてくださいということで導入を決めました。一番最初僕は平木社長とお会いしたのは、うちの町内の山笠の新年会に来ていただいたんです。それでお酒もご一緒してですね、いろんな話を聞かせてもらってシステムというよりも最初は人が先でしたね。
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なるほどですね。今年は山笠関係の方に弊社の会にもお越しいただいて、一緒にお酒を飲ませて頂いたのですが
Taberiiを通して今後もより交流を深めさせて頂けたらなと思っています。
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Taberiiはまだ始まったばかりなんでしょう?
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そうなんです、2024年の春からです。
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一度うちもTaberiiでの決済があったんですけど、あっ本当に入るんだって、本当にちゃんと決済が終わって振り込まれて、スムーズで分かりやすかったんで良かったです。こうやって何か一つのものが生まれていくんだなと思ってですね。生みの苦しみはあるんでしょうけどね。
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今後もより良いものにしていこうと開発は続けていますので、なにか不都合などありましたら何でもおっしゃってくださいね。
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はい!ぜひ応援してます。
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ありがとうございます !本日はお時間頂きありがとうございました。