Interview

今回は中央区の薬院にある”餃子 竹餃 ”オーナーの竹田 和典さんにお話を聞いてきました!

  • 竹田 和典(たけだ かずのり)さん
  • Taberiiインタビュアー

本日はよろしくお願いします!

よろしくお願いします!

まず、お店の名前の由来を教えていただけますか?

オリジナルの餃子をみんなに食べてもらいたいと思ったのと、僕の苗字が竹田なので、「たけちゃお」っていう名前にしました。 餃子って 「ちゃおず」 って言ったりするじゃないですか? それもあって、「たけちゃお」っていう名前にしました。

他にも名前の候補はあったんですか?

いや、一発で決まったと思います。何個かあったかもしれないけど、もう思い出せないですね。オリジナル餃子って作る人によって全然違うじゃないですか。自分の名前を入れることで、個性を出せたらいいなと思ったんです。

そういう理由があったんですね。

ただ、読み方が難しくてなかなか読んでもらえないんですけどね。だから、ローマ字とかひらがなとかで書くようにはしています。

開業されてから、今、何年目ですか?

14年目ですね。

14年目って、すごく長いですよね。この場所でそれだけ続けるって、大変じゃなかったですか?

自分的にはあっという間だったんですけど、たしかに周りは全部変わりましたね。

そうですよね。

はい。隣も前も向こうも全部変わりました。この辺りは僕が店を出したときはそんなに店は無かったんですけど、今は激戦区で隣も前も全部変わりましたね。

この薬院でお店を開こうと思ったきっかけは何だったんですか?

もともと、薬院でお店を出したいという思いがあったんです。
天神や今泉、大名あたりだと若い人が多くて、ちょっと賑やかすぎる印象があったんですよね。それに比べて薬院って、家族連れとか、20代後半から上の女性の方とか、ちょっと落ち着いた層のお客さんが多いイメージだったんです。
当時の餃子屋さんって、サラリーマンの方が外食で行くような、昔ながらのちょっと雑多な雰囲気の中華屋さんが多かったんですよ。全国的に見ても、女性や家族連れが気軽に入れる餃子屋さんって少なかったので、もっと気軽に餃子を食べてもらえる場所を作りたいと思ったんです。
僕の中でそれに 合うのが薬院だったんですよ。薬院がダメなら平尾あたりも考えていたんですけど、最初に不動産屋に行って、一番最初に紹介されたのが今の物件で、イメージにもぴったりだったので即決しました。

実際にお店を始めてみて、いかがでしたか?

イメージ通りでしたね。薬院って、当時はこんなポップな感じの餃子屋さんってほとんどなかったんですけど、実際に始めてみたら、やっぱり女性のお客さんが多かったですね。

じゃあ、最初から女性のお客さんも意識されていたんですね。

そうですね。女性のお客さんに気軽に餃子を食べてもらって、お酒も楽しんでもらえるようなお店にしたいと思っていました。だから、メニューも女性のお客さんと一緒に考えたり、声を聞きながら作ってきたものが多いんです。
最初は「たけちゃお餃子」と「すたみな餃子」っていう、にんにく入りとにんにくなしの2種類しかなかったんです。でもその後、「しょうが餃子」を出したんです。
冷え性の女性が多くて、冬だけじゃなくて夏もエアコンで冷えるっていう話をよく聞いていたので、体を温める餃子を作ろうって思って、しょうが餃子を作りました。

お客さんの声から生まれた餃子なんですね。

そうです。よく来てくれる常連さんとか女性のお客さんが多かったので、いろんな話を聞きながらこういうのどう?って一緒に考えるような感じでした。その次に作ったのが「まじれもん餃子」ですね。
ビタミンCとか、オリーブオイルとか、美容にも良い食材を使って、女性の方に肌にも良さそうって思ってもらえるような餃子を作ろうと思ったんです。

嬉しいですね、そんな思いで作られている餃子って。

そうですね。最初は2種類から始めたんですけど、その後はお客さんの声を聞きながら、こういうのがあったらいいねって生姜やレモンの餃子が増えていった感じですね。今でも女性のお客さんは多いです。20代半ばから70代まで、いろんな年代の方に来ていただいています。

お店はリニューアルもされたんですよね?

そうですね。コロナのときに、表の窓を開閉できるようにしたんです。 もともとガラス張りだったんですけど、開かなかったんですよ。それを開けられるようにしたんです。

開放感があって、外から見ても店内が見えるし、特に女性も入りやすいかもしれませんね。次に、竹田さんが飲食を始められたきっかけは何だったんですか?

飲食は、大学時代からアルバイトでずっとやっていて、提供するとすぐにリアクションが返ってくるのが楽しかったので、飲食の仕事が好きになりました。
一度だけ東京で就職したんですけど、会社員をやっていたときは、お客さんの声が直接届かなかったり、何をするにも時間がかかったりして、正直やりがいを感じられなかったんです。辞めて福岡に戻ってきて、アルバイトをしていたんですけど、そろそろちゃんと腰を据えて働こうと思ってですね。社員になって料理を始めました。
僕は和食屋さんでの経験が長いんですよ。少しだけ中華も経験しましたけど、基本はずっと和食ですね。

学生時代からのアルバイトで感じた楽しさが、飲食をはじめられるきっかけになったんですね。 その後はどうして餃子屋さんを出そうと思われたんですか?

その後は一番初めに働いていた和食屋の大将がラーメン屋を出すことになったんです。当時、僕は別の和食屋で働いていて、30歳の時にラーメン屋の立ち上げに合流しました。ただ、その大将もラーメン屋で働いたことがなかったので、僕が餃子を担当することになって、そこで初めて餃子を作ることになったんです。

そのときが餃子初挑戦だったんですね。

はい。その時はもう完全に独学でした。僕自身、餃子が好きだったので、じゃあ餃子やります!っていう感じでやり始めて、こうしたら美味しくなるかなって、いろんなレシピを試しました。ラーメン屋時代は、ずっといろいろな餃子を試していましたね。

それが今のお店に繋がっているんですね。

そうですね。全部オリジナルでやってきました。そこからずっと構想を練って、36歳で自分の店を出しました。

では、お店として、大切にされていることや想いを教えていただけますか?

やっぱり、「女性にも気軽に来てもらえる餃子屋さん」っていう最初の想いですね。今もよく来てくれる女性のお客さんに、こういうのどう?って聞いて、グランドメニューに加えたり、期間限定で出したりしています。だから、本当にお客さんと一緒に歩んできたという感じなんです。今後も、お客さんの声を大事にして、それを自分なりに形にしていきたいと思っています。

お客さんとの会話は、店内で自然とされているんですか?何か時間を設けているわけではなく?

いや、もうカウンターが目の前にあるので、自然に話せるんですよ。夜は特にそういうお客さんが多いですね。昼は時間がなくて会話する余裕がないことも多いんですけど、15時〜16時くらいに来る方とはゆっくり話せることもあります。夜はお酒も飲みながらなので、会話もしやすいですし、年齢層も高めで落ち着いた方が多いですね。もう友達みたいになっている常連さんも多くて、一緒に飲みに行ったりすることもあります。

一緒に飲みに行ったりもされるんですね。

そうですね。スタッフとの飲み会のときはお客さんも一緒に誘って、みんなでワイワイやっています。コロナで少し減ったんですけど、今でも定期的に集まったりしていますね。もうお客さんっていうより、仲間っていう感じの方が多いです。

地域とのつながりや、お客さんとの距離感も大切にされているんですね。

そうですね。やっぱりオリジナルの餃子をいろんな人に食べてもらいたいという思いと、お客さんのニーズにできるだけ柔軟に応えていきたいという気持ちはずっと持っています。地域密着というか、常連さんとの関係も大事にしていて、本当に近い距離感なんですよね。だから自然と、お客さんというより、知り合いみたいになってくるという感じですね。

私も竹餃さんを夜利用したときに感じたのですが、お子様連れや女性のお客さんともすごく距離が近いなと感じたんです。お客さんというより、もともとの知り合いかなと思うくらいの雰囲気でした。

そうですね。そういう方はめちゃくちゃ多いです。もともと一人で来ていたお客さんが、結婚して家族になって…っていう方もたくさんいます。うちの元スタッフも、今では家庭を持って子どもを連れて来てくれるようになったりしました。ゴールデンウィークとか、お盆とかの長期休みの時には、そういった家族が全国から集まってきてくれるんですよ。そういう時期は、同窓会みたいでとても楽しみですね。

それは素敵ですね。本当に家族ぐるみのお付き合いなんですね。
次にですが、お店に来たらこれはぜひ食べてほしい!というメニューはありますか?

まずはやっぱり餃子ですね。「たけちゃお餃子」と「すたみな餃子」、この2つはぜひシーンに合わせて食べ分けてほしいです。 「たけちゃお餃子 」はにんにくを使っていないので、家族連れの方には特に人気で、お子さんから女性、ご年配の方まで幅広く食べてもらえるように作りました。
逆に「すたみな餃子」はにんにくとニラがガツンと効いているので、今日はにんにく食べても大丈夫!っていうタイミングの方や、がっつり食べたい男性に人気ですね。それから「しょうが餃子」と「れもん餃子」は、女性のお客さんに人気ですね。なので、まず餃子は全種類食べてもらいたいですね。あと、唐揚げも人気です。餃子・唐揚げ・麻婆豆腐・担々麺、この4つは特に食べてほしいです。

唐揚げって、中華とはちょっと違うイメージがありますけど、どうしてメニューに入れられたんですか?

実は、もともと唐揚げはあまり好きじゃなかったんですよ(笑)。だからこそ、自分が好きになれる唐揚げを作ってみようと思って。それで、ガリガリな唐揚げを作りました。衣はカリカリだけど中はジューシーに。漬け込み方や調味料の使い方も工夫しています。
最初は同業者からもガリガリすぎて売れないよって言われましたけど、やり続けたら今では人気メニューになって、唐揚げ弁当もよく出ていますね。

唐揚げに続いて、他にも人気のメニューはありますか?

そうですね、麻婆豆腐と担々麺も人気です。特に麻婆豆腐はめちゃくちゃ辛いんですけど、土鍋で熱々で出すスタイルが好評です。辛いのが好きな方にはぜひ食べてほしいです。担々麺はランチでも出していて、もともと夜に人気だったのを少しお手頃価格にしてランチに出しています。あと、麻婆豆腐も担々麺も、僕が辛いのが苦手だったんで、むしろめちゃくちゃ辛くしてやろう!と思って作ったんですよ(笑)

味見は大丈夫でしたか・・?

いやもう、食べましたよ(笑)。一人で食べながら汗だくで涙流しながら。店のスタッフにも大丈夫?って心配されました。でも、ちゃんと自分でも味を確かめたかったんで、鍛えられましたね。
お客さんからももっと辛くしてとか、こうした方がいいよって意見をもらって、それを取り入れていったので、今の味は自分のアイデアとお客さんの声が合わさって完成したものですね。

やっぱり、お客さんとの対話がメニュー作りの中でも大きな要素なんですね。

そうですね。本当に、今あるメニューも、お客さんの声を聞きながら作ってきましたし、こんなの作ってみたよって試してもらったりもしていました。
うちの店はそんなに広くないので、距離が近い分、お客さんとのコミュニケーションも自然と多くなって、それがメニューにも反映されていますね。
引き続き、お客さんの意見を参考にしながら、自分でいいなって思ったものを、出し続けていきたいっていうのがありますね。餃子屋さんなんですけど餃子や中華にこだわりすぎずに、これいいなって思ったものは提供していきたいです。

新しいメニューを考えるうえで、他のジャンルからの影響ってありますか?たとえば、和食出身ならではの工夫とか。

うですね、もともと和食で働いていたので、出汁の使い方はかなり意識しています。うちのメニューでも、おつまみ系は和風出汁をベースにしているものが多いです。 たとえば「出汁湯豆腐」みたいに、出汁に豆腐ときのこを入れて、ちょっと生野菜を添えてあっさり食べられるようにしたり。 あとトマトの酢漬けとか根菜のピクルスも、普通の酢じゃなくて、和風出汁をちょっと混ぜているんですよ。だから、酸味がきつすぎず、まろやかで優しい味になるようにしています。

なるほど。お酒のおつまみにもちょうど良さそうですね。

そうなんです。餃子とか麻婆豆腐、担々麺みたいにパンチのあるメニューがある分、そういうさっぱりしたメニューで口直しにもなるようにしています。なので、出汁を活かした副菜系も意外とこだわっているんですよ。

最後にですが、Taberiiについてお話をさせていただいたとき、率直にどう思われましたか?

最初は紹介されたから話を聞いてみようかって感じでした。営業の話って基本あまり聞かないんですけど、悪いものじゃなさそうだなという印象と、地域や企業の人たちを応援するというコンセプトに共感したんです。僕自身、小さな規模ながら地域の声を聞いてやってきたので、そういう姿勢に共感できました。福岡で働く人たちを応援する仕組みというのが伝わってきました。

ありがとうございます。 あの…店頭の黒板の絵って、どなたが描かれているんですか?

あれは、もともとスタッフで描いていたんですけど、今は知り合いのデザイナーにお願いしています。デザインはその方にお願いして、でもチョークで実際に描く人は別にいて。スタッフで描ける人がいなかったんで、みんなで探して見つけたんですよ。今はその方にお願いしています。

プロの方にお願いされているんですね。

はい、そうです。以前は餃子の名前だけ描いたりした年もあって、その時はスタッフともうこれでいいやってなって、その年はずっとスカスカな黒板のままでした(笑)。 でも、今はちゃんとプロにお願いして活用しています!

本日はありがとうございました!お話を伺って、餃子へのこだわりや、お客さんとの関係性をとても大切にされているのがとても伝わってきました。

こちらこそありがとうございました!