Interview
月みちるBAR様
インタビュー
今回は、福岡市中央区の大名にある ” 月みちるBAR ” オーナーの吉川 由美さんにお話を聞いてきました!
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吉川 由美 (よしかわ ゆみ)さん
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Taberiiインタビュアー
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まず、お店の名前の由来を教えていただけますか?
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これは白石さんが(一緒にいらしたアートコーディネーターのかた)いると笑うかもしれないですけど、「月の女神」から名付けました。
葉山祐樹さんという有田の作家さんがいらして、前の会社の取引先のお客様だったんです。中国の月の伝説がありまして不老長寿の妙薬を喧嘩の種になるから自分が盗んで飲んじゃうわけですよね。夫と母親がそれを元に争うので。それを飲んで月に上って行ってしまい彼女は月で不老不死になったという話なんです。不老不死というのは非常にめでたいことではあるけれども、ひとりだけがずっと残っていってしまう悲しいことであるというような物語を題材にした作品を作られていて、それをもとに小説も書かれていたんですね。 それを私も好きだなと思っていたので、自分もお店をするときには月っていう言う文字を使いたいなと思っていて。月は満ちるほうが良いと思って。珍しい名前のほうが覚えていただきやすいので。
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珍しい名前で、一度聞いたら忘れられない名前ですよね。
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みちるさんですかって言われます(笑)
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(笑)素敵な物語ですね。
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そうなんですよ。物悲しい話ではあるんですけど、光と影があるような・・
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こちらを開業されたのは2019年の8月ですよね?
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そうですね。前身の月みちるBARは西新にございまして、2016年の3月ですね。
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西新から大名に移転された理由は何ですか?
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ビルの建て替えがあったんですよ。それで、別の場所にということになって。
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西新で3年されていたんですよね。常連の方も多かったんじゃないですか?
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そうですね。ご存じの通り西新と大名ってちょっと雰囲気も違いますし距離的にも少しありますので、西新がすごくご近所の方が多かったんですね、単身赴任やサラリーマンの方とかも。こちらはそういう感じではないので、食事会の後の2次会でいらしたり、お店も広くなったので 5、6名様で入っていただけるスペースもあります。西新はこの半分しかなかったんですよ。
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そうなんですね。
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カウンターが今と同じくらいあって4人掛けのテーブルくらいしかなかったんで。
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では、お店も広くなったので、利用される方の用途も少し変わりましたか?
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そうですね。利用者もそうですけど、幅も広がりましたね。たとえばこういう美術展や音楽ライブも人数たくさん入っていただけるようになりましたし、西新でも音楽ライブはしてたんですけどね。ダンスの発表会もできるようになったんですね。狂言とかもしていただいて、ですから出来ればそういうふうにやりたいなって将来的には思っていたので、別に大名にこの大きさで探したわけではないんですけど、結果的には思ったことに近づいているのかなとは思います。
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この場所を選ばれた理由は何ですか?
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半年くらい探していたんですけど良いところがなくて、一旦西新の食器とか重機を倉庫に預ける形となってしまったんですよ。場所が見つからなかったので。それで、少し範囲を広げて探したときに、ちょっと大名なんですけどっていう提案を不動産屋さんから受けて、一旦見せていただきましょうという感じで一旦見せていただいたら、何も無いスケルトンだったんですね。まだどなたも入ってらっしゃらなかったので。広さはちょっと広いなとその時は思ったんですけど、まあエントランスはうちが作って真四角の店舗だったんですけど。エントランスつけて喫煙ブースつけて、これくらいの客席数だったら展示会もできるなって思って。
ピアノも寄贈していただきましたので、西新のときに出演していただいていたバイオリニストのアマチュアの方なんですけどね。今もお客様としていらしてくださっているんですけど、その方がもう使わないから使ってと言ってくださって。だから、すごく良いものなので、調律もしていただいてすごく木材も昔のもののほうが良いので褒めていただきます。
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こちらのギターはどうされたんですか?
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これもお客さん(笑)これはお客様がですね、家で引かないで眠っている大好きなギターがあるので、ホルダーを買ってくるから見えるように置いてもらって、ライブのお客さんに使ってもらってもいいし、触りたいという方がいらしたら使ってもらってといただきました。
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こんなふうにお客様からいただくことってあまりないですよね。
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そうですね。でも、管理がですね、危なかったりするじゃないですか。 なので安定の良いホルダーがないと飾れませんということは申し上げましたけど、そうしたら買ってきちゃった(笑)
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そうなんですね(笑)
前の仕事の職種って一言でいうと 何ですか?
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美術工芸品の販売ですかね。 営業販売です。作家さんとお店、主に百貨店ですけれども。 作家さんと百貨店の間に入るお仕事なんですよ。どちらとも連絡を取り合って販売までやりますよという会社ですね。会社的に言うと美術工芸品の卸になるんですけどね。なかなか分かりづらいですよね。
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なぜ美術工芸品の販売から転職されてバーを始められたんですか?
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まず前職がいまも白石さんは独立して続けていらっしゃいますけど、出張するのがお仕事なんですね。全国の百貨店の美術画廊にこちらが出張してプレセールして販売してって。15年やってもうやり切ったかなと。
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そうなんですね。
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できれば地元福岡にいたいなと思いまして。他の仕事を考えていた時に、国家資格も何もないし、いい歳にもなっていたので、どうしましょうかとなったときに、 久留米の知り合いが店舗プロデュースをしていて話していたら飲食業・バーをやってみたらどう?と言ってくれて。
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最初はひとりでされていたんですか?
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当初西新では私ともうひとりアルバイトの女性の方がほぼ毎日入ってくれて。 その方は飲食しかしたことないよっていう子だったので、とても助かりました。 実務がすごくできる子だったので。
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バーってサービス業ですから、いままでの業種とはガラッと変わりますよね。
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おしゃべりすることは何らお酒があってもなくても変わらないので。
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なるほど、そうですね。でも、お酒を作ることが大変ですよね。
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そうですね、実務がやはり最初はなかなか難しかったですね。
バーテンダーの方に来てもらって講義はしてもらいましたけど。 一度にたくさん来られたりすると、実務になれている方がいたっていうのは 非常に助かりました。 運がよかったなと思います。
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たまたまアルバイトの方とはお知り合いだったんですか?
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そうです。西新の店舗の近くの方がご紹介くださって。 だから全然知らない方だったんですけど、ちょうど職を探していらして。 その方と知り合えていなければバーをしていなかったかもしれないです。
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お店のコンセプトも考えられたと思うんですけど、今までの仕事を活かしてという感じだったんですか?
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うーん、そうですね。私の年齢が年齢なので、そんなに若い方向けではなく、内装もちょっと落ち着いているんですけど、30代40代前後の年齢層の方を中心に考えていて、音楽であるとか、ここに映画も映してるじゃないですか、みんなが知っている名画を流したりとか、だから、すこし落ち着いた年齢層向けのお店にするためにっていう感じですかね。内装なんかも。
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こういう風に吉川さんもしたいなという感じだったんですか?
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それはそうですね。
どういうふうにっていうのは聞いてくれるので。それは反映していただきました。
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希望が叶ったんですね。
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ここに引っ越してきて白石さんのおかげですけど、結果こういう展示会ができたりとかイベントの幅もすごく広がりましたし、場所としても決して悪い場所じゃない、交通の便というか。
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西新より来やすいんじゃないですかね。
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より来やすくなりましたね。寄りやすくなった方が多いです。地下鉄も西鉄も近いですしね。
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では、一押しのメニューを聞いているんですが、 今おススメしたいものは何ですか?
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今だったらそれは生ビールですかね! それしかなくないですか。エーデルピルスっていうサッポロの生樽を置いているんですね。それあまりどこも扱ってらっしゃらないみたいです。ちょっと苦みがあったり一回インスタにもあげてますけど。 いややっぱそれですよね~
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飲みたくなってきました・・
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あと、世界的に評価の高いジャパニーズウィスキーなんですけど、各種取り揃えています!
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生ビールをおすすめするときの吉川さんの目がキラキラしてて(笑)
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そう思いません~? ビール好きの方もこれ美味しいねと言っていただけます。 どちらかというとしっかりとしたビール好きの方にウケます。 取扱店が少ないらしいです。
お酒はこれがというよりは全体で楽しんでいただきたいというのが非常にあるんですよ。少しライトも暗くしてたまには切子があったり、絵にスポットが当たって絵があったり、ライブがやってるとか、そういうただBARという感じではなくて色んなことをやってて、今日は何かやってるかなでもいいし、何もやってないときに来ようでもいいですし、なのであまりこれを飲みなさいというのはなくて、時間・空間を楽しんでいただきたいと思っています。 複合的に楽しんでいただきたいです。
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お昼はヨガスタジオなんですよね。
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そうなんです。平日の午前中を中心にうちのイベントととして、ヨガを予約が入ったらインストラクターさんに降りてきてもらって、たまたま上に住んでいらっしゃるんですよ、連携してここでしてもらっているんです。
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吉川さんもされるんですか?
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私はたまにうちのお客さんがやりたいときにレッスンしてもらったりとか。 3人4人とかまではグループレッスンできるので。 パーソナルの1対1でもできます。
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ヨガも簡単なのから難しいのまで様々ですよね。 私も一回やってみたことがあるんですけど、全然ついていけなくて・・・
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グループレッスンだとどうしてもそうなりがちなのでパーソナルを求めている方が多くなるんですよね。 その方の柔らかさとか体力にあわせて徐々にやってくださっているので、 2年通ってくださる方とか私の友人もいるし、少しずつ関節が柔らかくなってきていますね。
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女性が多いんですか?
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半々です。男女半々。今通われてる方。男性もすごいですよ。 がちがちだし。一旦ヨガの雰囲気にどっぷりはまって1時間ですね。 一旦こうヨガという雰囲気にどっぷりはまっちゃうみたいな。
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お店の名前ともマッチしてますよね。月のパワーとか。
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きっかけはインストラクターの方がお客様なんですね。夫婦で来られてて。 ヨガを習っていらして。インストラクターになる講座に通おうかな、どうしようかなとおっしゃってて。通い始められたので、それで資格をお取りになられて。習ってたヨガスタジオで始められたんですね。 それでじゃあうちでどう?と言って、午前中とか閉めてる時間帯があるので、 イベントという形で始めたらどうかなって。ということでじゃあやりましょうとなって。
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平日だけですか?
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月曜と火曜はお休みです。日曜日もやってますよ。 すごく明るくてすてきなインストラクターさんですよ。
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では、今後のことなんですけど、どんなお店を目指していらっしゃいますか?
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今後、今年中に読書会という話もいただいているんですね。それは私も楽しみなんですけど。そういうこととか、うちでいろんなワークショップ、一番ポピュラーなところでフラワーアレンジメントとかワークショップとかを土曜日の昼間とかそういうときにやってみたりとか、もちろん夜もですね、静かに飲んでいただくのは続けつつですね。
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本当に楽しい場所ですね。
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自分が楽しくないとですね。新しいことが何か見つかると楽しいですし。たまにこうやって切子見ると楽しい。年に一回ですね。
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お客様にはどういう風に利用していただきたいですか?
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楽しみ方はお客様それぞれでゆっくりお話をしたいからとイベントを避ける方もいらっしゃれば、イベントを見ながらわ~っと騒ぎたいからといらっしゃる方もおられるしどちらでもそれは・・ SNSで発信したりLINEでお客様に告知しているので、来たいか避けたいかどちらかはここは避けて違うときに来たいかなとか、決めていただく感じが一番いいかなと思っています。切子も待ってくださっている方もいらっしゃいますし。 毎年恒例になっているので。
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いいですね。恒例になっていると、この時期になったら来ようかなとかができるので。
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一個一個買い足していただいて。おかげ様で。
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いまも西新時代のお客様もいらっしゃるんですか?
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いらっしゃってますよ。ありがたいことに。途中下車していらしてくださったりとか本当にありがたいです。
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人との繋がりをずっと大切にされてますよね。
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そうですね。それもこれももっと西新からもっと西に行っていたらなかったでしょうけどね。
引っ越し先が大名にきたからですね。そうすると西新まで帰ってくる途中会社は博多だったよとか会社は天神だったよという方が多いからですね。そういうのもあって中州で飲んだけど2次会で大名だよとか天神でみんなで食事会だったけど2次会でみたいな感じがこの場所で良かったのかなと、長くお付き合いさせていただくのにですね。
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最初、Taberiiについてどう思われましたか?
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ものすごく良いと思いました。みんなにとって。三方よし。
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左座園さんに聞いてというところからですよね。 ※アクロス福岡の左座園の左座様からのご紹介です。
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左座園さんのところにこのチラシを持ってきたんですよ。(狂言トークイベントのチラシ) 左座さんに置いてもらっていたんです。行って、お茶を出してもらっていたら、そういえばさ、今行ってきたんだよねって。アクロスであってた展示会に。たまたまです。今、話を聞いてきたっておっしゃっていて。平木さんが友達なんだけど。始めたばかりなんだよって。じゃあTaberiiやりたいですって言ったらお電話してくださって。
※アクロス福岡で開催された展示会にTaberiiが出展していました。
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コンセプトが珍しいですよね。個人ではなく企業で使うので珍しいので、そこに共感していただいたのでありがたいですね。人とのつながりを大事にされてる吉川さんだから共感しやすかったんでしょうね。
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すごく共感しました。共感しない方います?だれもが良いものですからね。
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導入の決め手は?
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左座さんが友達でしたので、信用度は爆上がりしてたので。ある程度説明してくれてたので。俺間違ってなかったやろうって(笑)あらかた説明を受けてたんですよ。それもあったんで。面白いですよね。左座さん。
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もともとお友達だったんですか?
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いやいや西新のときのお客様で。私が西新に住んでいたマンションのお隣が左座さんの自宅だったんですよ。これはたまたま。びっくりしちゃって。高圧洗浄機でフェンスのお掃除をされてるのを隣で見てびっくりして。それもあったし、ほんとお隣でした。左座さんの奥様が截金(きりがね)っていう京都の伝統工芸をなさっていて、奥様のお母さまが截金の分野の人間国宝で、左座さんの奥さんなんだ!って。だから一番最初にお会いした時は大阪の高島屋で個展があるんだよねってDMをみせてもらったんですよ、江里 朋子さんの。
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左座さんに大感謝ですね。
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ほんとですね。アクロスで偶然。
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本日はありがとうございました。
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じゃあ私、制服に着替えてきますね!